交通事故に遭うリスクは、今の日本で生活している以上、ゼロではありません。不幸にして交通事故に遭ってしまった場合に、さらに追い打ちをかけることとして、相手が無保険である可能性もゼロではないのが実情です。
自賠責保険は絶対に入らなければならないものですが、任意保険も交通事故を起こしてしまうリスクがある以上、加入すべきだと思います。私は、これまで、自賠責保険に入っていないで事故を起こした人、任意保険に入っていないで事故を起こした人と仕事で接してきましたが、被害者にとって過酷であることはもちろん、保険に入らなかったことから加害者にとって多額の自己負担が発生し、関係者の誰にとってもつらい結果になるのを間近に見てきましたので、やはりどちらの保険も最低限入るべきだと思っています。
無保険、無車検の法律上の取扱
法的には、自賠責保険に加入することは法律上の義務であり、これに違反することは犯罪です。1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
それだけではなく、当然、免許の点数減点があり、6点減点ですので、過去3年間の行政処分歴がない者が30日の免許停止、行政処分歴1回の者は90日の免許停止、行政処分歴2回以上の者は免許取消という重い処分になってしまいます。
それから、自賠責保険は、車検のときに加入手続をすることが多いですので、無保険の場合、ほぼセットで無車検になります。車検を行うことも当然ドライバーの義務です。無車検も6点減点となり、刑罰は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
加害者が無保険だった場合
加害者が全く保険に入っていなかった場合、加害者が負う損害賠償責任が保険からは填補されないことになってしまいますが、当然加害者は自己負担で支払う義務があります。さらに、その場合、政府保障事業というものがあり、これにより自賠責保険と同様の支払を受けることができます。政府保障事業から支払を受けるためには、各損害保険会社の窓口に連絡することが必要です。詳しいことは、こちら(Q&A)をご覧ください。
また、まれに、自賠責保険には加入していないが、任意保険には加入している人がいます。任意保険に入れば、自賠責保険に入らなくていいと勘違いしている方がいるようですが、そのようなことは全くありません。自賠責保険に入っていない場合、自賠責保険で支払われたはずの分は任意保険から支払われませんので、加害者の自己負担となってしまいます。
無保険、無車検だった者の過失
無保険や無車検という杜撰な対応をしていた者が事故を起こした場合、被害者にとっては過酷なことになりかねず、過失割合としても加害者の過失が大きくなってもいいように思われます。
ですが、裁判所は、無保険自体が過失を重く評価する要素とは考えていないようであり、きちんと車検をしていれば事故が起きなかったという事故でないかぎり無車検についても過失に影響するとは考えていないようです。
理屈からいえばそうなりますが、無車検、無保険という状態で自動車に乗るという暴挙をする者が交通マナーがいいはずがないと私は思います。過失について微妙な判断が必要になった場合、無車検、無保険だった者にとってマイナスに評価される一因となる可能性はあると思います。
最後に
景気がよくなる兆しのない状況ですので、無保険になってしまうドライバーが増えることが想定されます。
当事務所は、交通事故について、無料で法律相談を承っていますので、お気軽にご相談ください。