判決事例集
死亡事故
死亡慰謝料
1.本人と近親者4名の慰謝料合計3000万円を認めた事例
高齢の親を扶養していた大学教授(58歳男性)について、本人の慰謝料2400万円、母・妹・2人の弟の4人に合計600万円の近親者固有の慰謝料を認め、合計3000万円の慰謝料請求を認めた(大阪地裁判決平成12年9月21日)。
事案概要 | 右折した自動車が、歩行横断中の被害者と衝突し、被害者が死亡。加害者からはアルコール分が検出し、業務上過失致死罪で禁固1年6月の有罪判決が出されていた事案 |
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請求金額 | 本人の慰謝料 3000万円 近親者固有の慰謝料合計 3360万円 |
2.本人と近親者1名の慰謝料合計3000万円を認めた事例
離婚時に9歳だった娘を一人で育ててきた兼業主婦(49歳女性)について、本人の慰謝料2600万円、娘固有の慰謝料400万円を認め、合計3000万円の慰謝料を認めた(東京地裁判決平成17年7月12日)。
事案概要 | 信号のない交差点で、自転車に乗車していた被害者が、自動車と衝突して死亡した事案 |
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請求金額 | 本人の慰謝料 3000万円 娘固有の慰謝料 400万円 |
3.本人と近親者2名の慰謝料合計2500万円を認めた事例
独身医師(32歳男性)について、本人の慰謝料2000万円、父母固有の慰謝料各250万円の合計2500万円の慰謝料を認めた(東京地裁判決平成11年12月20日)。
事案概要 | 飲酒運転ですでに追突事故を起こして逃走中であったトラック運転中の加害者が、信号無視をして交差点に進入した結果、被害者が運転する自動車と衝突し、被害者が死亡した事案 |
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請求金額 | 本人の慰謝料 3000万円 父母固有の慰謝料 各1000万円 |
死亡逸失利益
1.高校中退のアルバイト男性の基礎収入が男性の学歴計全年齢の平均年収とした事例
高校を中退したアルバイト男性(17歳)の死亡逸失利益について、賃金センサス男性労働者学歴計全年齢平均の年収542万7000円(平成16年度)を基礎に、生活費控除を5割とし、4695万3318円を認めた(ただし、さらに過失相殺により5割控除。仙台地裁判決平成20年2月27日)。
事案概要 | 信号のない交差点で、加害者運転の自動車が被害者運転の自転車に衝突し、被害者が死亡。被害者はホームセンターとコンビニエンスストアの両方でアルバイトをしていた。加害者は、中卒者の平均年収により計算すべきなどと主張した事案 |
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請求金額 | 死亡逸失利益 4695万3318円 |
2.大卒の上場企業社員の基礎収入が60歳までについて男性の大卒全年齢平均年収の8割とした事例
京都の有名私立大学を卒業して大証2部上場企業社員(33歳男性)の死亡逸失利益について、60歳までは賃金センサス男性労働者大卒全年齢平均の年収674万4700円(平成14年度)の8割である539万5760円を基礎とし、61歳以降67歳までは賃金センサス男性学歴計60~64歳平均の年収451万2400円を基礎として、生活費控除を3割で(既婚者)、6036万712円を認めた(過失相殺として4割控除された。また、退職金差額として差額の7割をライプニッツ係数控除した188万6417円を認めた。大阪地裁判決平成17年12月16日)。
事案概要 | 高速道路で、被害者運転の先行車両が原因不明のスリップと蛇行運転の結果として追越車線上に横向きで停車したところ、80キロ制限のところを100~120キロで走行した後行車両が避けきれずに衝突して被害者が死亡した事案 |
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請求金額 | 死亡逸失利益 6440万3081円 退職金差額 269万5615円 |
傷害事故
後遺症慰謝料
1.後遺障害1級の場合に本人の後遺症慰謝料3000万円、父母の慰謝料各400万円を認めた事例
博士課程の大学院生(27歳男性)が高次脳機能障害により1級3号の後遺障害等級が認定された場合について、本人の後遺症慰謝料3000万円、父母の慰謝料各400万円を認めた(東京地裁判決平成16年6月29日)。
事案概要 | 80キロ制限の片側3車線の高速道路で、被害者が助手席に座り加害者が運転していた自動車が130キロで走行中に、加害者がハンドル操作を誤って中央分離帯に衝突して、同車両が転覆し、被害者が重度の障害が残る傷害を負った事案 |
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請求金額 | 本人の後遺症慰謝料 4000万円 父母の慰謝料 各750万円 |
2.後遺障害8級の場合に本人の後遺症慰謝料1000万円を認め、父母の慰謝料を否定した事例
小学生(10歳男児)が右眼失明により8級1号の後遺障害等級が認定された場合について、本人の後遺症慰謝料1000万円を認めたが、父母の慰謝料を認めなかった(東京地裁判決平成4年1月21日)。
事案概要 | 信号のある交差点で青信号の横断歩道を渡っていた被害者に対し、加害者が運転する自動2輪車が右折した際に接触し、被害者が右眼を失明するなどの傷害を負った事案 |
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請求金額 | 本人の後遺症慰謝料 9000万円 父母兄弟の慰謝料合計 1400万円 |
後遺症逸失利益
1.事故時の役員報酬全額を後遺症逸失利益算定の基礎収入と認めた事例
年商8億円で従業員41名のレーザー機器研究開発会社の代表取締役(41歳男性)が頸部痛により14級9号の後遺障害等級が認定された場合の後遺症逸失利益について、事故当時の役員報酬1174万8120円(年収)を基礎として、労働能力喪失期間5年とし、254万2880円を認めた(東京地裁判決平成23年3月24日)。
事案概要 | 加害者がトラック運転中に前方不注視により被害者が運転する自動車に追突した結果、被害者が頸椎捻挫の傷害を負い、14級の後遺障害が認められた事案(なお、被害者は交通事故により脳障害を負ったことで高次脳機能障害となり、8級の後遺障害が発生していることを主張したが、判決はこれを認めなかった) |
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請求金額 | 後遺症逸失利益 8264万9304円(後遺障害8級で労働能力喪失期間24年にて請求) |
2.専業主婦に関して賃金センサス女性労働者学歴計年齢別平均年収を基礎収入と認めた事例
専業主婦(62歳女性)が腰痛や膝関節痛などにより12級13号の後遺障害等級が認定された場合の後遺症逸失利益について、賃金センサス女性労働者学歴計60~62歳平均の年収281万1200円(平成17年度)を基礎として、労働能力喪失期間を10年とし、279万7481円を認めた(東京地裁判決平成22年5月25日)。
事案概要 | 自動車を運転する加害者の不注意により被害者が運転する自転車との衝突事故が発生し、被害者が左骨盤骨折の傷害を負い、入通院したが、12級の後遺障害が発生した事案 |
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請求金額 | 後遺症逸失利益 279万7481円 |
入通院慰謝料
1.入院11日間、通院9回5ヶ月半の場合に入通院慰謝料を90万円と認めた事例
被害者が事故日から11日間入院し、その後5ヶ月半にわたり合計9回通院した場合の入通院慰謝料について、90万円と認めた(東京地裁判決平成23年9月21日)。
事案概要 | 信号のある交差点で、加害者が自動2輪車で黄色点滅の信号になっている交差点を直進しようとしたところ、被害者が運転する自転車が赤色点滅の信号の状態で横断歩道を無灯火で進行していたのと衝突し、被害者が脳挫傷などの傷害を負った事案 |
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請求金額 | 入通院慰謝料 164万円 |
休業損害
1.事故直近3か月の収入ではなく、事故前年の収入を基礎として休業損害を認めた事例
エステティシャン(34歳女性)が左肩甲骨骨折、右恥骨骨折、左第一胸椎横突起骨折などにより34日入院し、約11か月にわたり通院したことによる1年間の休業損害について、事故直近3か月間の平均月収21万円ではなく、事故前年の平均月収41万1102円を基礎として、493万3224円を認めた(東京地裁判決平成18年12月27日)。その理由として、事故直近の収入金額は、転職して研修期間中であったため一時的に低額になっていたにすぎない旨を判示した。
事案概要 | 加害者が運転する自動車が信号のない交差点をきちんと確認しないまま右折しようとしたところ、右側から進行していた自動車と衝突し、さらに同車の後続の被害者運転車両に衝突して、被害者が左肩甲骨骨折などの傷害を負った事案 |
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請求金額 | 休業損害 493万3224円 |
2.生活保護受給者について、女性労働者年齢別平均年収を基礎収入と認めた事例
高校・専門学校卒業で臨床工学技士・准看護師・ヒプノセラピスト(催眠療法士)の各資格を有しながら長男の介護のために生活保護を受給していた被害者(47歳女性)が腰痛、頸部痛などにより6か月半(194日)にわたり通院したことによる休業損害について、高卒女性45~49歳の平均年収327万7200円を基礎とし、当初の90日間を100%休業,次の60日間を50%休業,最後の44日間を25%休業として、125万2622円を認めた(東京地裁判決平成22年4月12日)。同判決は、事故までの約10か月間、生活保護を受給しつつヒプノセラピストをして生計を立てていたことを認めた上、傷病の内容・程度、本件事故の衝撃の程度等の諸事情に照らして徐々に減額をしたものである。
事案概要 | トラックを運転する加害者の前方不注視により被害者が運転する前方車両に追突して、被害者が傷害を負った事案(なお、被害者は低髄液圧症候群ないし脳脊髄液減少症の発症を主張したが、判決はこれを認めず、被害者が主張する5年の休業期間の一部しか認めなかった) |
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請求金額 | 休業損害 1544万8522円 |
物損事故
修理費
1.全塗装費用を認めず、修理箇所の部分塗装費用のみを認めた事例
新車登録後2年のキャデラックについて、被害者は全塗装をしないと色むらが生じるとして、全塗装を前提とする修理費を請求したところ、多少の光沢の差が生じるのは、購入後2年近くを経過して、すでに色褪せ等が生じていたためであることや、全塗装する場合に要する費用は、部分塗装の場合に要する費用の2倍以上にもなるとし、全塗装を認めるのは、過大な費用をかけて原状回復以上の利益を得させることになることが明らかで著しく妥当性を欠くとして、部分塗装を前提に修理費174万7590円を認めた(このうち部分塗装費用は23万3100円。東京地裁判決平成7年2月14日)。
事案概要 | 前方不注視の加害者が運転する自動車が、信号待ちをしていた被害者運転のキャデラックに追突し、同車に損傷を負わせた事案 |
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請求金額 | 修理費 219万7082円(このうち全塗装費用は63万500円) |
時価額
1.新車引渡20分後の事故でも、新車買替の費用を損害とは認めず、修理費を損害と認めた事例
ディーラーでの新車引渡20分後のメルセデスベンツ(新車価格758万6250円)について、被害者は接待用で事故車は嫌われることなどを理由に新車の買替に必要な新車価格と諸費用を請求したところ、新車の買替を認める特段の事情はなく、新車買替費用と修理費のいずれか安価な方をもって損害とすべきとし、安価な修理費339万2392円を損害と認めた(東京地裁判決平成12年3月29日)。
事案概要 | 脇見運転をした加害者が、赤信号で停止中の被害者運転のメルセデスベンツに追突し、同車に損傷が発生した事案 |
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請求金額 | 新車時価額 758万6250円 登録諸費用 54万9850円 |
評価損
1.新車登録後1年6か月のBMWについて評価損を修理費の3割とした事例
新車登録後1年6か月で走行距離1万536kmのBMWについて、被害者は事故がなかったと仮定した場合の時価額348万2000円から事故後(修理済み)の時価額249万5000円を差し引いた98万7000円の評価損を請求したところ、フレーム等の車両骨格部分につき損傷があったものとは認められないとし、評価損として認められるのは修理費の3割である30万6605円とした(東京地裁判決平成12年11月21日)。
事案概要 | 駐車場内で、加害者の過失により被害者が運転するBMWとの衝突事故が発生し、同車に損傷が発生した事案。被疑者は事故の7か月後に事故に遭ったBMWを下取りに出して新車を購入した。 |
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請求金額 | 評価損 98万7000円 |
休車損
1.運送会社のトラックの休車損について
トラックの修理により稼働できなかった期間の逸失利益(1日あたり2万8884円)のうちから同トラックの運転手に支払わなくて済んだ休日手当、出張手当、調整手当及び時間外手当相当分(1日あたり3385円)を差し引いた1日あたり2万5449円を休車損と認め、休車損が発生した期間を2日として、5万998円の休車損を認めた(過失相殺により損害の3割が控除された。東京地裁判決平成18年8月28日)。
事案概要 | 被害車両が国道の第2車線から第1車線に車線変更した際、路外から第1車線に左折して進入した加害車両が衝突し、被害車両に損傷が発生した事案 |
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請求金額 | 休車損 91万5312円(31日分。1日あたり2万9526円) |