請求可能な損害 傷害事故の場合

後遺症慰謝料

後遺症とは、交通事故による怪我の治療を継続しても残ってしまう症状のことです。後遺症が残ってしまった場合、その精神的苦痛について慰謝料を請求することができます。後遺症慰謝料とは、このことをいいます。

慰謝料の金額は、後遺症が自賠責保険で決まっている後遺障害等級の何級に該当するかによって変わることになっています。どのような後遺障害が何級に該当するかについては、こちらをご覧ください。

また、後遺症慰謝料の金額については、自賠責保険の基準、保険会社の任意基準、裁判基準と3種類の基準があります。後遺症慰謝料の相場は、基準が3種類もあるため、明確に断定することはむずかしいですが、このなかで最も重要なのは、一番金額が高く、裁判をすれば認められることが多い裁判基準だと思いますので、裁判基準の表を記載します。

後遺障害等級 慰謝料金額 後遺障害等級 慰謝料金額
第1級 2800万円 第8級 830万円
第2級 2370万円 第9級 690万円
第3級 1990万円 第10級 550万円
第4級 1670万円 第11級 420万円
第5級 1400万円 第12級 290万円
第6級 1180万円 第13級 180万円
第7級 1000万円 第14級 110万円

(参照:損害賠償額算定基準平成24年版(赤い本)財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

なお、自賠責基準は、こちらであり、自賠責基準が最も低い金額になります。任意基準は、保険会社によって個別に定められており、一般に公開もされていません。

相手の保険会社は、裁判基準よりかなり低い任意基準に基づいて被害者の方に提案をしてくる場合がほとんどで、そのときに裁判基準というものがあることを教えてくれません。

また、被害者の方がご自身で裁判基準に基づいた慰謝料を請求しても、保険会社が裁判基準を認めてくれることはまずありません。

被害者の方が弁護士に依頼すれば、裁判基準に基づいた交渉をすることができるようになり、かなりの増額が見込まれます。

後遺症逸失利益

後遺症逸失利益とは、交通事故がなければ得られたはずの収入(利益)が、事故による怪我の後遺症によって仕事に支障が生じて得られなくなったと考えられる場合に認められる損害のことです。

後遺症逸失利益は、以下の計算式によって算定します。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数=後遺症逸失利益

例えば、事故直前の時点で年収400万円のサラリーマンで、事故によって片眼の視力が0.1以下になり後遺障害等級が第10級となった方が後遺症認定時に50歳だった場合には、第10級の労働能力喪失率は27%であり、50歳の労働能力喪失期間は通常67歳まで働く前提で計算して17年で、そのライプニッツ係数は11.2741ですから、400万円×0.27×11.2741=1217万6028円が後遺症逸失利益になります。

このように、後遺症逸失利益は個別具体的な状況によって変わってきますので、後遺症逸失利益の相場というものはありません。

それでは、計算の具体的内容について、詳しく解説します。

1.基礎収入とは

基礎収入は、給与所得者、自営業者、会社役員、主婦、学生などによって算定の仕方が異なります。また、個別事情によって変わってくる場合がありますが、一般的な考え方は以下のとおりです。

(1)給与所得者について

給与所得者の基礎収入は、原則として事故直前の収入です。つまり、事故直前の収入が同額で推移したはずという前提で計算するのです。実際には、年数の経過により収入の上がり下がりがあるのが普通だと思いますが、将来どうなるかを見通すことは困難な場合が多いので、事故直前の収入を基本とします。

これには、例外があります。1つは、10代20代の若者の場合、性別・学歴に応じた平均年収によるのが原則になります。それは、まだ就職していない学生の場合には性別学歴に応じた平均年収が基礎収入になるのに対し、就職したばかりの若者の実際の年収はそれより低い場合が多いため、就職したばかりの若者が不利な扱いを受けるのを防ぐことを目的としています。例えば、平成22年の統計(賃金センサス)において、大卒男性の平均年収は633万2400円、大卒女性は428万4900円、高卒男性は461万9000円、高卒女性は294万600円です。 

また、通常どおり勤務していれば収入が増額することが明らかな事情がある場合には、事故直前の収入より多い金額を基礎収入とすることが認められます。

(2)自営業者について

自営業者は、原則として確定申告の所得金額が基礎収入になります。ただし、税金を低く抑えるために申告金額を実際より低く抑えていることが認定される場合には、申告金額より高い金額が基礎収入とされることがありますし、性別・学歴・年齢に応じた平均年収より低い申告金額の場合に平均年収が得られる可能性が高いと認められれば平均年収が基礎収入とされることがあります。

また、家族が自営業の手伝いをしている場合、家族の寄与分が引かれて基礎収入が算出される場合もあります。

(3)会社役員について

会社役員(代表取締役、取締役など)については、役員報酬の全部が基礎収入と認められない場合が多いです。すなわち、基礎収入と認められるのは、役員報酬のうち、利益配当的な部分が引かれた残りの部分という考え方がとられています。つまり、残りの部分は、労務提供の対価と評価される部分になります。どのくらいの割合が利益配当的として引かれるかは、個別具体的な事情をもとに判断されますので、一概に言えません。

(4)主婦について

専業主婦は、女性労働者の平均年収によるというのが原則です。

兼業主婦(正社員、契約社員、パート、アルバイトなどを含む)は、実際の収入が女性労働者の平均年収を超える場合には実際の収入が基礎収入となり、実際の収入が女性労働者の平均年収を超えない場合には平均年収が基礎収入となります。

ちなみに、女性労働者の平均年収は、平成22年の統計(賃金センサス)で、345万9400円です。

(5)学生・幼児について

学生は、基本的に、性別学歴に応じた平均年収が基礎収入とされます。大学生の場合は、大卒の平均年収で計算しますが、高校生以下の場合には、大学に進学する状況が認められる場合には大卒の平均年収ですが、そうでない場合は全ての学歴を含めた平均年収とされています。

また、男性は男性の平均年収で計算しますが、女性は男性女性を合わせた平均年収で計算するのが一般的です。

幼児の場合も考え方は同じであり、基本的には、男性は男性の平均年収、女性は男女合わせた平均年収が基礎収入とされます。

(6)無職の高齢者について

無職の高齢者は、仕事に就く可能性が相当程度認められる場合には、性別年齢に応じた平均年収を基礎収入とします。

(7)失業者について

労働能力と労働意欲があり、仕事に就くことができた可能性が高い場合に、後遺症逸失利益を認め、原則として、失業前の収入を参考にします。失業前の収入が性別に応じた平均年収より低い場合には、性別に応じた平均年収が採用されます。

2.労働能力喪失率とは

労働能力喪失率については、自賠責保険において、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率が決められており、その数値がそのまま認められるのが原則です。

表にすると、以下のとおりです。

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
第1級 100% 第8級 45%
第2級 100% 第9級 35%
第3級 100% 第10級 27%
第4級 92% 第11級 20%
第5級 79% 第12級 14%
第6級 67% 第13級 9%
第7級 56% 第14級 5%

ただし、例外的に、増減があり得ますし、特に第14級等の低い労働能力喪失率などの場合に労働能力喪失率が全く認められないことがあります。

したがって、弁護士などの専門家にご相談いただくのが良いと思います。

3. 労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

(1)労働能力喪失期間とは

まず、労働能力喪失期間は、後遺障害が認定されたとき(正確には症状固定時)から67歳までの期間とするのが原則です。つまり、一律に67歳まで働くということを前提にするのです。年単位で計算します。

ただし、これには、いくつもの例外があります。

学生や幼児の場合には、基本的に18歳から起算し、大卒を前提にする場合には大学卒業の年齢から起算します。

67歳以上の方については、平均余命(簡易生命表(リンク)というもので決まっています。)の2分の1を労働能力喪失期間とします。

また、67歳に近い年齢のため、67歳までの期間より平均余命の2分の1の期間の方が長い場合には、平均余命の2分の1が採用されます。

それから、特に、むち打ちで後遺障害等級第12級や第14級が認定された場合に多いのですが、67歳までの期間ではなく、5年や10年の労働能力喪失期間とされることがありますし(むち打ちの場合には5年や10年とされるのが原則的になっています)、個別具体的な事情に応じて期間が67歳までより短くされることがあります。

(2)労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数とは

そして、労働能力喪失期間が算出されたとしても、その数値がそのまま計算式にあてはめられるのではなく、さらなる計算が必要になります。それが労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数です。

ライプニッツ係数とは、労働能力喪失期間の数値に応じて決まっている数値であり、具体的には、以下の表のとおりです。

労働能力
喪失期間(年)
ライプニッツ係数 労働能力
喪失期間(年)
ライプニッツ係数 労働能力
喪失期間(年)
ライプニッツ係数
1 0.9524 24 13.7986 47 17.9810
2 1.8594 25 14.0939 48 18.0772
3 2.7232 26 14.3752 49 18.1687
4 3.5460 27 14.6430 50 18.2559
5 4.3295 28 14.8981 51 18.3390
6 5.0757 29 15.1411 52 18.4181
7 5.7864 30 15.3725 53 18.4934
8 6.4632 31 15.5928 54 18.5651
9 7.1078 32 15.8027 55 18.6335
10 7.7217 33 16.0025 56 18.6985
11 8.3064 34 16.1929 57 18.7605
12 8.8633 35 16.3742 58 18.8195
13 9.3936 36 16.5469 59 18.8758
14 9.8986 37 16.7113 60 18.9293
15 10.3797 38 16.8679 61 18.9803
16 10.8378 39 17.0170 62 19.0288
17 11.2741 40 17.1591 63 19.0751
18 11.6896 41 17.2944 64 19.1191
19 12.0853 42 17.4232 65 19.1611
20 12.4622 43 17.5459 66 19.2010
21 12.8212 44 17.6628 67 19.2391
22 13.1630 45 17.7741 68 19.2753
23 13.4886 46 17.8801 69 19.3098

なぜ、このライプニッツ係数が問題になるのかといいますと、後遺症逸失利益の損害賠償は基本的に後遺障害が認定された後すぐに一括で支払われるところ、事故がなければ毎月の給与として支払われるはずのものが補填されるものであるため、同じ金額になるのであれば一括で支払われる方が毎月支払われるより経済的に得をしていることになるからなのです。

例えば、毎月10万円(1年120万円)が30年間継続して合計3600万円支払われる場合と一括ですぐに3600万円が支払われる場合とで比較すると、後者の場合に支払後すぐに銀行へ預金した方が前者の場合より、もらえる利息が多くなるのは明らかです。

最近は預金の利息がとても低いのでピンとこないですが、利息が年4%であれば、その違いはとても大きいです(一括の場合、最初の1年間で144万円の利息がつきますが、分割の場合、最初の1年間では2万円位の利息にしかなりません。)。

そこで、その差をなくすために考えられた計算式がライプニッツ係数なのです。これを法的には、中間利息控除といいます。

そして、このライプニッツ係数は、実は、年利5%を前提に作られています。今時、年利5%の利息がもらえる預金はないと思いますが、最高裁で年利5%を前提としたライプニッツ係数を用いることを認める判決が出たため、実務上の運用が確定しています。

4.まとめ

以上の内容に基づき、後遺症逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数=後遺症逸失利益」という計算式によって算定されます。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をされて入通院したことについての精神的苦痛に関して請求できる慰謝料のことです。先に述べた後遺症慰謝料とは別に認められるものです。入通院慰謝料は、交通事故で怪我をされて入通院されれば必ず認められる慰謝料ですが、後遺症慰謝料は怪我をされた上に後遺症が認定されてはじめて認められる慰謝料です。

入通院慰謝料についても、自賠責保険の基準、保険会社の任意基準、裁判基準という3つの基準があり、この順番にしたがってだんだん金額が高くなります。入通院慰謝料の相場としては、最も重要となるのが裁判基準の金額だと思いますので、以下のとおり表でお示しします。

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 53 101 145 184 217 244 286 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

(単位:万円)

(参照:損害賠償額算定基準平成24年版(赤い本)財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

この表の見方ですが、例えば、入院1か月で通院2か月の場合、入院1月の列と通院2月の列が交差するところの98万円が入通院慰謝料の金額になります。

また、基本的には上記の表によりますが、むち打ち症で他覚症状がない場合には、一般的に通常の怪我より低い金額とされており、以下の表のとおりになります。

(単位:万円)

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 161 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

(単位:万円)

(参照:損害賠償額算定基準平成24年版(赤い本)財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

入通院慰謝料についても、後遺症慰謝料と同じように、相手の保険会社から裁判基準にしたがった金額の提示がされることはなく、かなり低い任意基準による提示がなされます。また、ご自身でいくら保険会社と交渉しても裁判基準を引き出すのは至難の業です。

裁判基準に従った慰謝料の支払いを受けるためには、弁護士に依頼するのが早道です。

なお、自賠責保険の場合、入通院慰謝料は、治療期間と「実入通院日数×2」のいずれか少ない日数に4200円を乗じたものになります。

休業損害

休業損害とは、交通事故で怪我をしたことで仕事を休むことになった場合にもらうことができなくなった給与などの収入のことであり、加害者及びその保険会社に対して損害賠償を請求できます。

休業損害は、おおむね以下の計算式によって算定します。

基礎収入(日額)×休業日数=休業損害

ただし、すでに述べた後遺症逸失利益と同様、給与所得者、自営業者、会社役員、主婦、学生などによって算定の仕方が異なりますので、個別に説明します。

1.給与所得者について

事故直前の収入から基礎収入を計算します。有給休暇を使った日も、事故がなければ有給休暇を有効に使うことができたのですから、休業日数に含めます。

また、事故の休業によりボーナスや昇給、昇格に影響があったと認められる場合、損害賠償の対象になります。

2.自営業者について

自営業者の場合、給与所得者と異なり、怪我で仕事を休んだからといって、直ちに休業損害が認められるわけではありません。

基本的には、実際の収入減がなければ、休業損害が認められないといわれており、認められる休業損害の金額も、休業により実際に収入が減った分だといわれています。

加えて、事故による休業中も支払わなければならなかった固定費が損害として認められる場合があります。

3.会社役員について

会社役員については、後遺症逸失利益の場合と同様、役員報酬の全部が基礎収入とは認められず、基礎収入と認められるのは、利益配当的な部分が引かれた部分といわれています。どのくらいの割合が利益配当的として引かれるかは、個別具体的な事情をもとに判断されますので、一概に言えません。

4.主婦について

専業主婦については、女性労働者の平均収入を基礎収入とします。

この点、兼業主婦は、女性労働者(兼業主婦と女性労働者ってどう違う?女性労働者はフルタイム勤務の人?週3パートとかが兼業主婦?)の平均収入を超える収入がある場合には実際の収入を基礎収入とし、そうでない場合には女性労働者の平均収入を基礎収入とします。

5.学生・幼児について

学生、幼児については、学校などを休んだとしても経済的損害は認められませんので、休業損害は認められませんが、アルバイトなどで収入があった場合には給与所得者と同様に休業損害が認められます。また、怪我により卒業や就職が遅れた場合には、損害賠償が認められることがあります。

6.失業者・無職の高齢者について

労働能力と労働意欲があり、仕事に就く可能性が高い場合には、休業損害が認められますが、基礎収入は労働者の平均収入より低い場合が多いです。

治療費など

1.治療費

治療費は、基本的にかかった費用を請求できます。ただし、過剰な治療費、高額過ぎる治療費は請求が認められないことがあります。

また、医師から症状固定と判断された後に治療を受けた場合、治療費の賠償が認められないのが一般的です。なぜなら、症状固定とは、その後に治療を受けても症状の改善の見込みがなく、治療の効果がない状況であるため、効果のない治療費は損害賠償の対象にならないとされてしまうのです。しかし、例外的に、治療を受ける必要性が明確に認められる場合には、損害として認められることがあります。

2.鍼灸・マッサージ費用、温泉治療の費用

医師の指示がある場合には認められる可能性が高いですが、高額な場合に金額が限定されることがあります。医師の指示がない場合には、損害賠償が認められない可能性が高いですので、自己負担になることを覚悟して行ってもらった方がいいと思います。

3.差額ベッド代、特別室料

医師の指示がある場合や、空室がなかった場合、症状が重篤な場合に認められます。

4.器具、装具、介護用品など

怪我により必要となった車いすや電動ベッドなどの器具、義歯などの装具、介護用品などについては、損害として認められます。将来も必要になる場合には、将来の分も認められます。

付添看護費など

1.入院付添費

入院時に付添の必要性が認められる場合に、ご家族が付き添ったときには1日あたり6500円程度(自賠責保険では4100円)、ヘルパーのときには実費額が損害として認められます。付添の必要性が認められるためには、できたら医師の指示があると良いです。

2.通院付添費

通院時に付添の必要性が認められる場合には、1日あたり3300円程度(自賠責保険では2050円)が損害として認められます。

3.介護費

自宅療養中に日常生活の介護が必要な場合には、ご家族であれば1日8000円程度、ヘルパーを依頼する場合にはその実費額が損害として認められます。

症状固定後も後遺症により介護が必要な場合には、将来の分も認められます。

入院雑費

入院した場合にかかる日用品などの雑費について、一律1日あたり1500円程度(自賠責保険では1100円)が認められています。

通院交通費など

原則として、通院するために必要な交通費が認められます。タクシーについては、タクシー利用が必要な相当の理由が必要です。また、通院にご家族の付添が必要な場合にはご家族の分の交通費も認められます。

家屋・自動車改造費など

重大な後遺障害が残ってしまった場合に、必要な家屋改造費や自動車改造費、転居費用などが認められます。

診断書代など

診断書代や保険金請求手続にかかる費用などについては、必要かつ相当と認められれば、損害として認められます。

弁護士費用

基本的に、弁護士に依頼して裁判を起こして判決にまで至った場合に、損害賠償額の10パーセントの金額が弁護士費用の損害として認められます。実際の弁護士費用と同一の金額ということではありません。