交通事故を起こしてしまった未成年者が責任能力を欠くと判断される場合には(12~13歳未満の年齢の場合には)、その親がその損害賠償責任を負うことになります。
それに対し、未成年者が12~13歳以上で責任能力がある場合には、原則として親に責任はありません。
ただし、例外的に責任が認められるケースが2つ考えられます。
1つ目は、親が自動車やバイクの登録名義人になっていた場合です。その場合、自賠法(自動車損害賠償保障法)3条の運行供用者責任が認められ、損害賠償責任を負う可能性が高いです。運行供用者責任は人身損害にのみ発生するものとなっていますので、物損だけの事故の場合には運行供用者責任が認められることはありません。
2つ目は、親自身の過失により交通事故が起きたと判断される場合です。具体的には、親が未成年者の監督を十分行わなかったことが事故を招いたといえる場合です。
裁判例で、被害者が加害者(17歳)の親自身の過失により交通事故が発生したと主張した場合について、①親が相当の監督をすれば加害行為の発生が防止できたこと、②そのような監督を現実にすることができたこと、③監督をせずに放任しておけば交通事故が発生するとの蓋然性が一般的にも強い場合であることなどの状況が認められる場合には、親自身の過失により交通事故が発生したものとして、親自身の損害賠償責任(民法709条の不法行為責任)が認められるものとされました(東京高裁判決昭和52年3月15日)。この裁判例は最高裁判所によるものではないため、一つの目安に過ぎませんが、このような場合には、親自身の責任が認められる可能性が高いと思います。
以上の場合には、例外的に、未成年者の親の責任が認められると思われます。
いずれの場合も、微妙な判断が必要となりますので、交通事故専門の弁護士に相談されることをおすすめします。