交通事故で労災がおりる場合、損害賠償額から減額されるのですか。

勤務中の交通事故で傷害を負ったときに(死亡の場合も同様です)、労働者災害補償保険(労災)の給付があった場合、損益相殺として、損害賠償額から減額(控除)されるものとそうでないものがあります。

労災の給付には、色々な種類があります。基本的には、労働者災害補償保険法において、労災の給付がされた場合に、その給付の限度で加害者に代位する旨の規定(同法12条の4)の適用を受けるものについては、損益相殺の対象になるものと解されています。
裁判例で、損益相殺が認められた労災の給付は、以下のものがあります。
①休業補償給付金
②療養補償給付金
③障害(補償)一時金
④葬祭給付・遺族年金前払一時金
⑤障害補償年金前払一時金
⑥遺族補償年金
⑦障害補償年金
⑧介護補償給付金

裁判例で損益相殺が認められなかったものは以下のものです。
①特別支給金(障害特別支給金、休業特別支給金、遺族特別支給金など)
②障害特別年金
③障害特別年金差額一時金
④傷病特別年金
⑤遺族特別年金
⑥遺族特別一時金
⑦就学等援護費
⑧福祉施設給付金
⑨労災援護給付金

また、以上の損益相殺の問題は、既に受領済みの場合です。まだ受領していない場合には、支給が確定したものについてのみ、損益相殺の対象になるとされています。 裁判例で問題になったものは、年金が多いです。