自賠責保険における傷害による損害の具体的内容を教えてください。

自賠責保険における傷害による損害には、大きく分けて4つの項目があります。(1)治療関係費、(2)文書料その他の費用、(3)休業損害、(4)慰謝料です。これら項目の合計額が傷害による損害として支払われます。ただし、これらの合計額が120万円を超える場合には最高限度額の120万円が支払われることになります。

  1. 治療関係費については、治療費(応急手当費、診察料、入院料、投薬料、手術料を含みます)、用具費(松葉杖、義歯など)、診断書作成料、入通院交通費に関しては必要かつ妥当な実費が損害として認められます。

    その他、入院付添費(入院中の看護料)として12歳以下の子どもに近親者などが付き添った場合に1日4100円が認められ、通院付添費(通院看護料)として12歳以下の子どもに近親者などが付き添った場合にも1日2050円が認められます。12歳を超える被害者の方については、医師が看護の必要性を認めた証明がある場合、近親者などの通院付添費及び自宅看護料1日2050円が認められ、ヘルパー(厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介が必要)の通院付添費及び自宅看護料の必要かつ妥当な実費が認められます。近親者などが付添による休業損害があり立証資料で上記金額を超えることが明らかになった場合は必要かつ妥当な実費が認められます。

    加えて、入院雑費が1日1100円認められます。通院または自宅療養中の雑費も立証資料提出によって必要かつ妥当な実費が認められます。

  2. 文書料その他の費用としては、交通事故証明書・被害者側の印鑑証明書・住民票発行費用、事故後の病院への搬送費用が必要かつ妥当な実費として認められれば支払の対象となります。

  3. 休業損害については、休業による収入の減少があった場合か有給休暇を使用した場合に、原則として1日5700円となります。専業主婦についても1日5700円の休業損害が認められます。実際の収入の減少等が1日5700円を超えることが立証資料により明らかな場合には1日1万9000円を限度とした金額が認められます。

  4. 慰謝料については、1日あたり4200円と決められています。慰謝料の対象となる日数は、実治療日数(実際に治療のため病院に行った日数)の2倍と治療期間(治療開始日から治療終了日までの日数)を比較して少ない方になります。例えば、交通事故発生日の10月1日から治療を開始して10月30日に治療が終了し、その間に8日通院した場合、実治療日数の2倍の16日と治療期間の30日を比較して少ない16日が慰謝料の対象となり、1日あたり4200円ですので、4200×16=6万7200円が慰謝料として認められます。

なお、交通事故により傷害を負い、後遺障害も残ってしまった場合には、以上の傷害による損害に加えて、後遺障害による損害も支払の対象となります。傷害による損害の最高限度額120万円は、あくまで傷害による損害に関するものであり、後遺障害による損害は後遺障害等級に応じた別の最高限度額が定められています。したがって、交通事故で傷害を負って14級の後遺障害が認められた場合、傷害による損害の最高限度額である120万円に後遺障害による損害の最高限度額である75万円を加えた195万円が自賠責保険で支払われる最高額となります。