弁護士費用特約に入っている被害者の方において、加害者への裁判で弁護士費用を損害賠償として請求することは問題ないと思います。
まず、交通事故の被害者が弁護士に依頼した場合には、損害賠償請求の裁判において、損害合計額の1割程度の弁護士費用を加害者に対して請求することができます。
詳しいことは、「弁護士費用特約に入っていなくても弁護士費用が無料になる方法」のコラムをご覧ください。
弁護士費用特約に入られている被害者の場合、弁護士費用が被害者が加入している保険会社から弁護士に支払われますので、被害者の自己負担はない場合があります。
横浜ロード法律事務所では、被害者が加入している弁護士費用特約の保険会社から支払われる範囲でしか弁護士費用をいただきませんので、常に被害者の自己負担はありません。
そのような状況でも、被害者が加害者に対して損害合計額の1割程度の弁護士費用を損害賠償請求することは可能です。
実際の裁判例としては、加害者側が弁護士費用特約の適用があり、被害者が実際には弁護士費用を負担しないのだから損害として発生していないと主張されていても、加害者に対して一定程度の弁護士費用の負担が命じられることが多いです。
その理由としては、
①保険金は原告(保険契約者)が払い込んだ保険料の対価であり、保険金支払義務と損害賠償義務とはその発生原因ないし根拠において無関係と解される(大阪地裁判決平成21年3月24日)
②本件訴訟の弁護士費用が弁護士費用特約により既に保険会社から原告に支出されたことの証明はない(東京地裁判決平成23年9月21日)
等と判示されています。
ただし、弁護士費用特約の適用を受けるのだから、被害者に弁護士費用の損害は発生しないとした福岡地裁判決平成23年5月9日もあり、必ずしもこのような事例の取扱いが確定しているとは言えない状態だと思われます。
また、判決で加害者に弁護士費用の損害賠償が命じられたとしても、弁護士費用特約の保険の約款において、判決の結果で加害者から弁護士費用の損害賠償が得られたときは、弁護士費用特約の適用を受けた金額の範囲で、保険会社への返還義務が発生すると規定されている場合が多いです。
したがって、せっかく判決で弁護士費用の損害賠償が認められても、自己の保険会社に支払わなければならなくなることが多いですので、注意していただいた方が良いと思います。